賃貸でも工事なし。買って、置いて、試した記録 2026-09-11 FRI / 記事 8 本

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Home Assistant Green を賃貸で始める:Raspberry Pi との違いと初期設定の流れ

公開 2026-09-10読了 6 分

Photo: Jakub Zerdzicki / Pexels

この記事でわかること
Home Assistant Green と Raspberry Pi 自作の違いを2026年の価格で比較し、開封から初期設定までの流れ、Wi-Fi非搭載など賃貸で先に知っておきたい制約を整理します。

結論から書きます。2026年9月の時点では、「Home Assistant を安く始めたいからラズパイで自作する」という前提は、ほぼ崩れています。メモリ価格の高騰で Raspberry Pi 側が何度も値上がりし、既製品の Home Assistant Green とほぼ同じ価格帯になったからです。

なので、賃貸でこれから Home Assistant を始めるなら、私は Green を勧めます。理由は「安いから」ではなく、組み立てとOS書き込みの工程が丸ごと消えるからです。

ただし Green には無線が一切載っていません。ここを知らずに買うと、届いた日に手が止まります。順に整理します。

価格差はほぼ消えた:2026年のラズパイ事情

Green の希望小売価格は 199ドル(179ユーロ) です。発売時は99ドルでしたが、2026年4月24日から現在の価格に改定されました。公式の説明では、理由は部品価格、特にメモリの高騰です。

一方の Raspberry Pi も、同じ理由で値上げが続いています。2026年4月1日の改定では、4GBモデルが25ドル、8GBモデルが50ドル、16GBモデルが100ドル上がったとされています。日本国内の実売で見ると、スイッチサイエンスでの Raspberry Pi 5 は 4GB 単体が22,990円、8GB 単体が36,300円(いずれも税込・2026年9月時点)です。

比較すべきは「基板の値段」ではなく「動く状態にするまでの合計」です。同店のスターターキット(4GB本体+公式ケース+電源アダプタ+64GB microSD+HDMIケーブル)は31,900円。Green の199ドルとほぼ並びます。

つまり、金額はもう決め手になりません。差が出るのは手間のほうです。

  • Pi はケース・電源・ストレージを自分で選び、OSイメージを書き込む必要がある
  • microSD にデータベースを書き続けると寿命が縮むとされていて、本気で使うなら SSD 化が視野に入る(また出費が増える)
  • Green は Home Assistant OS が最初から入っていて、書き込み作業そのものがない

Green に「載っていないもの」を先に確認する

スペックを並べます。公式が公開している内容です。

項目Home Assistant Green
SoCRockchip RK3566(4コア Cortex-A55 / 1.8GHz)
メモリ4GB LPDDR4X
ストレージ32GB eMMC
有線LANギガビット×1
Wi-Fi / Bluetoothどちらも非搭載
Zigbee / Thread非搭載(別売ドングルで対応)
USBUSB 2.0 Type-A ×2(合計5V 2Aまで)
電源12V 1A アダプタ同梱
消費電力アイドル約1.7W/負荷時約3W
サイズ112×112×32mm・340g・ファンレス

太字にした2行が要点です。Green は無線を持っていません。 ネットワークは有線LANのみで、Wi-Fi 運用は前提にされていません。

Zigbee や Thread の機器をつなぎたい場合は、別売の Home Assistant Connect ZBT-2 を USB に挿します。実売は49ドル前後とされています。注意点として、このドングルは Zigbee と Thread を同時に使えません。両方使いたいなら2本必要になります。

消費電力は 1.7〜3W なので、24時間つけっぱなしでも 31円/kWh 換算で月40〜70円ほどの計算になります。常時通電の機器としては軽いほうです。

初期設定:つまずくのは実質1か所だけ

公式が案内する流れは3ステップです。

  1. LANケーブルと電源をつなぐ
  2. ブラウザまたはアプリでガイドに従う
  3. 家の中の機器が自動で見つかる

ブラウザで開くアドレスは http://homeassistant.local:8123 です。ここで詰まる人が一番多く、そして詰まる原因もだいたい決まっています。

.local の名前解決に失敗しているケースです。この場合は次の順で試します。

  1. http://homeassistant:8123 を試す
  2. それでもダメなら、ルーターの管理画面で Green の IP アドレスを調べて http://<IPアドレス>:8123 を開く
  3. 本体の黄色いLEDが心拍のように点滅しているか、LANポートのLEDが光っているかを確認する(光らないならケーブルかポートを替える)

スマホやPCが Green と同じネットワークにいることも確認してください。ゲスト用SSIDにつないだままだと、まず見つかりません。

つながったあとのオンボーディングは、準備(約700MBのダウンロード)→ 管理者アカウント作成 → 位置情報の設定 → 解析データ共有の可否 → 完了、という流れです。

ひとつだけ強く言っておきたいのは、最初に作る管理者アカウントは復旧手段がないという点です。公式ドキュメントにも、オーナーの認証情報は復旧できないと書かれています。パスワード管理アプリに保存してから進めてください。

外出先からアクセスしたい場合は、公式の Home Assistant Cloud を契約するのが一番手間がかかりません。料金は月6.5ドル/年65ドル(米ドル・税別)で、無料トライアル期間が用意されています。

賃貸で使うときに効いてくる話

ルーターのLANポートに空きがあるかを先に見てください。賃貸の備え付けルーターはポートが少ないことがあります。埋まっていれば、千円台のスイッチングハブを1台足せば済みます。

置き場所はルーターの横が素直です。ファンレスなので無音、112mm角と小さく、工事も壁の穴あけも要りません。コンセントとLANだけで完結するので、原状回復の心配はありません。電源アダプタは同梱されているとされていますが、付属プラグは EU / US / UK 向けの記載なので、購入先によっては手元での確認が必要です。

SwitchBot をつなぐ場合は経路の選択が要ります。 Green には Bluetooth がないため、温湿度計などに Bluetooth で直結したいなら、USB の Bluetooth アダプタを挿すか、ESP32 を Bluetooth プロキシとして置く構成になります。SwitchBot ハブ経由のクラウドAPIを使うなら、Bluetooth は不要です。この2経路の違いは別記事(Home Assistant × SwitchBot 連携)で詳しく書いています。

Nature Remo を使いたい場合は、Home Assistant の公式統合ではなく、HACS 経由のコミュニティ統合を入れる形になります。有志のメンテナンスに依存する点は、先に納得しておいたほうがよい部分です。

Green を買わなくていい人

次に当てはまるなら、急いで買う必要はありません。

  • 常時起動しているPC・ミニPC・NASがある:そこに Home Assistant を入れれば追加費用はほぼゼロです
  • Raspberry Pi が手元に余っている:新規に買うと割高でも、余り物なら話は別です
  • カメラの常時録画など重い用途が主目的:Green の 4GB / 32GB では窮屈になりやすく、ストレージも増設できません

なお、上位機だった Home Assistant Yellow は生産終了しています(ソフトウェア更新は継続とされています)。今から新規に選ぶ対象からは外して考えるのが無難です。

まとめ

  • 2026年はメモリ高騰でラズパイが値上がりし、Green(199ドル)と Pi 5 一式(スターターキット31,900円)がほぼ同価格。安さでの自作優位は消えた
  • Green は Wi-Fi・Bluetooth・Zigbee をすべて非搭載。有線LAN必須で、Zigbee/Thread は別売の Connect ZBT-2(49ドル前後)が要る
  • 初期設定の山場は homeassistant.local:8123 が開かないとき。homeassistant:8123 → IPアドレス直打ち、の順で解決する
  • 最初に作る管理者アカウントは復旧できない。パスワードは必ず保存してから進める
  • 常時起動のPCやNASがあるなら、まずそちらで試すほうが安い
編集人(本業: IT) 賃貸で暮らしながら、工事なしでできる範囲を試しています。使わなくなったものも書きます。