電気代を見える化するスマートプラグ比較:Tapo P110M と SwitchBot プラグミニ

Photo: Jakub Zerdzicki / Pexels
電気代の明細を見て「何がこんなに食っているんだろう」と思ったことはないでしょうか。家全体の数字だけでは、犯人が古い冷蔵庫なのか、つけっぱなしのPCなのか、実は大したことのない家電を気にしていただけなのかが分かりません。
コンセントと家電の間に挟むだけで消費電力を測れるスマートプラグは、この「どれが食っているか」を1台ずつ切り分けるための道具です。工事も配線も不要なので賃貸でもそのまま使えます。定番は2つ、TP-Link の Tapo P110M と SwitchBot プラグミニです。どちらも実売2,000円前後で、電力計測に対応しています。
先に結論
- Apple Home(iPhone の「ホーム」アプリ)で使いたい/Matter で繋ぎたいなら Tapo P110M
- すでに SwitchBot を使っている、または「消費電力をきっかけに何かを動かしたい」なら SwitchBot プラグミニ
- 見える化だけが目的で、Matter も自動化も要らないなら、Matter 非対応で安い Tapo P115という選択肢もあります
順に理由を書きます。
基本スペックはほぼ同じ
まず、電気的な条件は両者とも横並びです。
| Tapo P110M | SwitchBot プラグミニ(JP) | |
|---|---|---|
| 定格 | 100V / 15A / 最大1500W | 100V / 15A / 最大1500W |
| サイズ | 38 × 66 × 40 mm | 70 × 39 × 59 mm |
| 通信 | 2.4GHz Wi-Fi | 2.4GHz Wi-Fi + Bluetooth |
| Matter | 本体が対応 | ハブ経由で対応(後述) |
| 型番の例 | P110M | W2001400 |
どちらも 2.4GHz 帯の Wi-Fi だけに繋がります。5GHz には繋がらないので、スマホが 5GHz に繋がっている状態でセットアップに失敗する——というのは両者に共通してよくあるつまずきです。
サイズは方向が違うだけでどちらも小型です。ただし縦に2口並んだ壁コンセントだと、上に挿したときに下の口を塞ぐかどうかは製品の形で変わります。測りたい家電のコンセント周りを一度見てから買うと確実です。
「見える化」の中身はどう違うか
リアルタイムの消費電力と、過去の使用量を履歴で見られる点は共通です。差が出るのは細かい表示です。
Tapo P110M はアプリに電気料金の単価を設定でき、その月の電気代の目安まで出せます。SwitchBot プラグミニはリアルタイムの電力・電流・電圧が見られ、月ごとの使用量や電気代の目安もアプリ上でグラフと数値で確認できます。
どちらも家計簿の代わりになるほどの精度をうたった計測器ではありません。あくまで「この家電はだいたい何Wか」「先月よりどのくらい多いか」を掴むための目安として見てください。
なお、プラグ自体も電気を使います。SwitchBot プラグミニの場合、本体の消費電力は1W前後とされていて、24時間挿しっぱなしでも1台あたり月に十数円から20円台の計算になります。何台も挿すと無視できなくなるほどではありませんが、「節電のために挿したら少し増えた」という小さな逆転は起こり得ます。
決定的な差:消費電力を「きっかけ」にできるか
ここがいちばん大きな違いです。
SwitchBot プラグミニは、消費電力が◯W以上/以下になったことをオートメーションの条件にできます。 これができると、測るだけの道具がセンサーに変わります。
代表例が洗濯機の終了通知です。洗濯中は電力が高く、止まれば下がる。その落ち込みを条件にすれば、「洗濯が終わったらスマホに通知」が作れます(脱水前の一時的な低下で誤通知しないよう、待ち時間の条件を足すのがコツとされています)。ほかにも「テレビの電力が上がったら間接照明をつける」のように、家電のON/OFFを検知するスイッチ代わりにも使えます。
一方の **Tapo は、消費電力をトリガーにしたオートメーションが用意されていません。**アプリのスマートアクションで使えるトリガーはデバイスの状態や時刻などで、電力のしきい値は選べないという報告が利用者から出ています。電力を見る機能はあっても、それを条件に何かを動かすことはできない、という整理です。
「見える化したい」だけなら差はほぼありません。「見えた数字で何かを動かしたい」なら SwitchBot 一択、というのが私の見方です。
Matter とエコシステムの差
逆に Tapo が有利なのがここです。
**Tapo P110M は本体が Matter に対応しています。**そのため Apple Home にも直接追加でき、iPhone の「ホーム」アプリや Siri から操作できます。Matter 対応が要らないなら、同じく電力計測ができて Matter 非対応の Tapo P115 のほうが安く買えます。
SwitchBot プラグミニは、本体単体では Matter に対応していません。Matter で繋ぐには Matter 対応のハブ(ハブミニの Matter 対応版、ハブ2、ハブ3 など)が必要で、2024年4月からハブ経由で対応しています。さらにMatter 経由でできるのは電源のON/OFFだけで、電力の計測値は渡りません。Apple Home 側で消費電力まで見たい、という使い方には向きません。
なお SwitchBot には HomeKit 対応をうたった別モデルのプラグミニもあります。買うときは型番まで見て、自分が欲しいのが「Apple Home で使えること」なのか「電力で自動化できること」なのかを先に決めてください。
買う前に確認したい3つのこと
1. エアコンは測れないことがほとんどです。 多くの家庭でエアコンは専用回路の専用コンセントに繋がっていて、200V だったり、形状が家庭用の2Pと違ったりします。電気代の主役を測りたい気持ちは分かるのですが、ここは対象外と考えてください。
2. 1500W を超える家電には使えません。 ドライヤー、電気ケトル、オイルヒーター、電子レンジあたりは定格が1500W近い、または超えるものがあります。家電側の銘板に書かれた定格消費電力を確認してから挿してください。タコ足配線の先に挿して合計で超える、というのもやめたほうがよいです。
3. 冷蔵庫には挿さないほうが無難です。 スマートプラグ経由だと、通信の不調や誤操作で電源が切れたときの被害が大きく、メーカー側も冷蔵庫のような常時通電が前提の家電への使用を推奨していないことが多いです。測りたい対象としては魅力的ですが、リスクとの釣り合いで考えてください。
それでも最初の1台を何に挿すか
測る対象に迷ったら、**「つけっぱなしにしがちで、止めても困らないもの」**から始めるのがおすすめです。デスク周りのPCとモニター、テレビとレコーダー、こたつや電気毛布、除湿機や加湿器あたりが候補になります。
1週間挿してみて数字が小さければ、そこは気にしなくてよい場所だと分かります。それも立派な成果で、「気にしなくていいことが分かる」ほうが、節電の努力より効きます。
まとめ
- どちらも100V / 15A / 最大1500W、2.4GHz Wi-Fi 専用。電力計測と履歴表示は共通で、実売も2,000円前後
- 消費電力をトリガーにできるのは SwitchBot プラグミニだけ。洗濯終了通知など、センサーとして使いたいならこちら
- 本体で Matter に対応しているのは Tapo P110M。Apple Home で使いたいならこちら。ただし Matter 経由で渡るのはON/OFFのみという制約は SwitchBot 側にもあります
- Matter も自動化も不要なら、Matter 非対応で安い Tapo P115 でも見える化はできます
- エアコンは専用コンセントで測れないことがほとんど。1500W超の家電と冷蔵庫は対象外と考えてください
- 最初の1台は「つけっぱなしにしがちで、止めても困らない家電」に。小さいと分かった時点で、その心配を手放せます


